2006/10/07 (Sat)

 [ BOOK ] 岡崎隼人「少女は踊る暗い腹の中踊る」(講談社ノベルス)

少女は踊る暗い腹の中踊る (講談社ノベルス)

少女は踊る暗い腹の中踊る (講談社ノベルス)

  • 作者: 岡崎 隼人
  • 出版社・メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/06/07
  • メディア: 新書
  • ASIN: 4061824880


 そういえばこのカテゴリも久しぶりだなぁ。某所の読書会みたいなもののために読んだ作品(ぼかしすぎて訳が分からなくなっています)。


連続乳児誘拐事件に震撼する岡山市内で、コインランドリー管理の仕事をしながら、無為な日々を消化する北原結平・19歳。自らが犯した過去の“罪”に囚われ続け、後悔に塗れていた。だが、深夜のコンビニで出会ったセーラー服の少女・蒼以によって、孤独な日常が一変する。正体不明のシリアルキラー“ウサガワ”の出現。過去の出来事のフラッシュバック。暴走する感情。溢れ出す抑圧。一連の事件の奥に潜む更なる闇。結平も蒼以もあなたも、もう後戻りはできない!!第34回メフィスト賞受賞!子供たちのダークサイドを抉る青春ノワールの進化型デビュー。


 何となく「オタクっぽくない佐藤友哉」という言葉が浮かびました。この前提が正しいかどうかは分かりませんが、閉じた世界のみで展開される話であることは確かです。「父親のコインランドリーを……」という主人公には両親の話がほとんど出てきませんし、襲われた赤ちゃんの中には「次女」がいるにもかかわらず、その姉の姿がほとんど出てこなかったり。もしかしたら、「セカイ系」の一種に類することが出来る話ではあるかも知れません。僕にはこういう話は書けないなぁ。凄惨すぎて、勝手に救いを求めて。良いのかそれで、という気はしなくもないです。考え過ぎかな。


 僕の感想としては、「すごいけど認めたくない」というのが正直なところ。作者はもしかしたら「現実は現実、小説は小説」と割り切っているのかも知れない。そんな感じがするんですよね。何か生々しく書かれているのに、要するにDQNが多すぎて現実味がない、という感覚なのです。だから、読んでいて作中世界にどっぷりと填りつつも、主人公の目線を極めて冷めた視点で見てしまうのです。要は感情移入出来ない、ということでしょうか。何となく読者を選ぶ作品だなぁ、とは思います。シリーズ化しにくい展開でもありますし(そのうち○○サーガとか言い始めたらびっくりですが)。決して面白くなかったわけではないのですが、腑に落ちない感覚を得ました。うーん、殺人がサラダ油みたいな、というか(どんな例えだ)。


 まー、そのうち太田克史からお呼びがかかりそうな作家だとは思います。年代的にも最年少だし。

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Comments → (2)  [コメントを入れる]
# あおぎり :

こちらに書き込むのはじめてです。でも見るのもはじめてです(汗)
こんばんは、先日の回廊チャット以来ですね。


>オタクじゃない佐藤友哉
ヒキコモリじゃない滝本龍彦とも言い換えられそうですね。ようするに、人間どころかキャラクターすら描き切れていない、という感じでしょうか。
これは、上記二人がそうであるという意味ではなく、踝さんの感想からそう読み取れたということです。

(2006/12/15 01:01:41)
# :

ども、こちらでははじめまして。見事な絶賛休止中です(笑)。


>ようするに、人間どころかキャラクターすら描き切れていない、という感じでしょうか。
僕自身は佐藤作品はフリッカー式しか読んでいないので一概には言い切れませんが(滝本作品に到っては読んですらいません。なので、佐藤さんと滝本さんを同列に扱うべきかどうかについては留保いたします)、
一言で言えば「二番煎じ」以上の何者でもなかったのですよね、僕にとって。


僕にとって佐藤友哉は「オタクノワール」という変なジャンルを開拓した人だと思うんですけれど、
岡崎隼人の場合はステレオタイプの組み合わせであって、それ以上ではないんですよ。
キャラクターすら……というのは言い過ぎかも知れませんが、なんか全く思い入れすらなかったのも確かですね。
そんな感じなので、「成長を期待する」としか言い切れないです。要はもっと作り込んで欲しかったり。
……や、自分が言えることではないのですが。

(2006/12/15 22:21:16)
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